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区分所有法61条・前編】建物の一部が滅失した場合の復旧等をわかりやすく解説

61条は、地震や火災などで建物の一部が滅失した場合の復旧ルールを定めた条文で、前編では「小規模滅失時の単独復旧」と「大規模滅失時の復旧決議」までを解説します。

目次

条文

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(建物の一部が滅失した場合の復旧等)
第六十一条 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項、第六十四条の五第一項、第六十四条の六第一項、第六十四条の七第一項、第六十四条の八第一項、第七十条第一項、第七十一条第一項又は第八十四条第一項の決議があつたときは、この限りでない。
2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
3 第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各三分の二以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。

※7項以降(買取請求権・催告など)は後編で解説します。

解説

1項:小規模滅失は単独で復旧できる

建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項…の決議があつたときは、この限りでない。

ここでの基準は「滅失した部分の価格」ではなく、建物の価格の2分の1以下かどうかです。滅失部分の評価額ではなく、建物全体の価格を基準に判断する点に注意してください。

この基準を満たす「小規模滅失」の場合、各区分所有者は集会の決議を待たずに単独で、滅失した共用部分と自分の専有部分の復旧工事に着手できます。

ただし共用部分の復旧については、工事に着手するまでに、集会で復旧決議(3項)や建替え決議などが可決されてしまえば、単独復旧はできなくなります。単独復旧の権利は「決議が成立するまでの暫定的な権利」というイメージです。

2項・3項・4項:復旧費用の精算と規約による別段の定め

2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
3 第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

単独で共用部分を復旧した区分所有者は、かかった費用を、14条に定める持分割合に応じて他の区分所有者に請求できます(2項)。
自分だけが費用を負担して終わり、というわけではありません。
関連記事:14条:共用部分の持分の割合

持分割合とは…各区分所有者が共用部分に対して持っている権利の割合のこと。原則として、各区分所有者の専有部分の床面積の割合によって決まる(14条)。

単独復旧だけでなく、集会で復旧決議をすることも可能です(3項)。
小規模滅失の場合、「各区分所有者が単独で直す」か「集会で決議してから直す」かを選べることになります。

そして1項から3項までの内容は、規約で別段の定めをすることが認められています(4項)。
たとえば「小規模滅失であっても単独復旧は認めず、必ず集会決議による」といったルールを、管理組合が規約で独自に定めることもできます。

5項・6項:大規模滅失は集会の特別決議が必要

5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各三分の二以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。

「第一項本文に規定する場合を除いて」とあるとおり、5項は1項(小規模滅失)に当てはまらない場合、つまり建物価格の2分の1を超える「大規模滅失」の場合を対象にしています。
この場合、集会で滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができます

1項の小規模滅失では各区分所有者が単独で復旧できましたが、大規模滅失ではこの単独復旧の規定は使えません。
小規模なら単独でも直せる、大規模なら集会で決めてから直す、という対比で覚えておくとよいでしょう。

決議を行うには、まず出席の要件(定足数)を満たす必要があります。
区分所有者の過半数、かつその議決権の過半数を有する者が出席することが必要で、この過半数はそれぞれ規約でこれを上回る割合に引き上げることができます。

出席者が揃ったら、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上の賛成で決議が成立します。
59条の競売請求(各4分の3以上)と数字を混同しないよう注意してください。
関連記事:59条:区分所有権等の競売の請求

この決議をした集会の議事録には、各区分所有者の賛否も記載・記録しなければなりません(6項)。
これは、後編で説明する買取請求権が「決議に反対した人」に発生する仕組みと連動しており、誰が賛成し誰が反対したかを記録に残しておく必要があるためです。

図解

61条前編(1〜6項)の復旧フロー図 建物の一部滅失時、滅失部分が建物価格の1/2以下なら小規模滅失として単独復旧が可能、1/2超なら大規模滅失として集会決議が必要になる分岐を示すフローチャート 建物の一部が滅失 建物の価格が 1/2以下 建物の価格が 1/2超 小規模滅失 大規模滅失 各区分所有者が単独で 復旧OK(1項) 費用は持分割合に応じて 償還請求できる(2項) 規約で別段の定めも可(4項) ※先に集会で復旧決議(3項)等が 可決されると単独復旧は不可 集会で復旧決議(5項) 定足数:各過半数出席 (規約で加重可) 決議要件:各2/3以上の賛成 議事録に賛否を 記載(6項)

練習問題

問1(1項)

建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合、各区分所有者は、集会の決議を経なければ、滅失した共用部分の復旧工事に着手することができない。

答え

バツ

小規模滅失の場合、各区分所有者は集会の決議を経ずに、単独で滅失した共用部分及び自己の専有部分の復旧工事に着手できます。
ただし、他の区分所有者が先に集会で復旧決議等を可決した場合は、この限りではありません。

↑ 1項の解説を見る

問2(2項)

小規模滅失により共用部分を単独で復旧した区分所有者は、その復旧に要した費用を、第14条に定める持分割合に応じて他の区分所有者に請求することができる。

答え

マル

単独で共用部分を復旧した区分所有者は、かかった費用を14条の持分割合に応じて他の区分所有者に償還請求できます。
自分だけが負担して終わり、というわけではありません。

↑ 2項・3項・4項の解説を見る

問3(3項)

小規模滅失に該当する場合であっても、集会において滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

答え

マル

小規模滅失は単独復旧が原則ですが、集会で復旧決議をすることも可能です。
「単独で直す」か「集会で決議してから直す」かを選べる、というイメージです。

↑ 2項・3項・4項の解説を見る

問4(4項)

小規模滅失の場合の、単独復旧・費用の償還請求・集会での復旧決議に関するこれらのルールは、規約で別段の定めをすることができない。

答え

バツ

小規模滅失に関するこれまでのルール(単独で復旧できること、費用を持分割合に応じて償還請求できること、集会で復旧決議もできること)は、規約で別段の定めをすることが認められています
たとえば「小規模滅失であっても必ず集会決議による」といったルールを規約で定めることもできます。

↑ 2項・3項・4項の解説を見る

問5(5項)

建物の一部が滅失し、その滅失部分が建物価格の2分の1を超える場合、集会において、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

答え

バツ

大規模滅失の復旧決議の要件は、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上です。
4分の3以上ではありません。

関連記事:59条:区分所有権等の競売の請求

↑ 5項・6項の解説を見る

問6(6項)

大規模滅失の復旧決議をした集会の議事録には、各区分所有者の賛否についても記載し、又は記録しなければならない。

答え

マル

5項の決議をした集会の議事録には、各区分所有者の賛否も記載・記録することが義務付けられています。
これは、決議に反対した人に発生する買取請求権の仕組みと連動しています。

↑ 5項・6項の解説を見る

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