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区分所有法 第46条の9|管理不全専有部分管理人の権限

区分所有法第46条の9は、管理不全専有部分管理人にどのような権限があるかを定めた条文です。管理だけでなく「処分」まで権限が認められる一方、議決権は行使できず、一定の行為には裁判所の許可が必要になります。

目次

条文

(管理不全専有部分管理人の権限)

第四十六条の九
管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(以下「管理不全専有部分等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。

2 前項の規定にかかわらず、管理不全専有部分管理人は、集会において議決権を行使することができない。

3 管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

4 管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の処分についての前項の許可をするには、その区分所有者の同意がなければならない。

今回学ぶポイント

  • 管理不全専有部分管理人には「管理+処分権限」がある
  • 議決権は行使できない
  • 一定範囲を超える行為は裁判所の許可が必要

解説

1項|管理不全専有部分管理人の権限

第四十六条の九第一項
管理不全専有部分管理人は、管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分並びに管理不全専有部分管理命令の効力が及ぶ動産並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権並びにこれらの管理、処分その他の事由により管理不全専有部分管理人が得た財産(以下「管理不全専有部分等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。

この条文は、管理不全専有部分管理人が、どこまで権限を持つかを定めています。

管理不全専有部分管理人は、対象となる専有部分や動産、権利などについて、「管理」だけでなく「処分」をする権限まで持つ点が重要です。

つまり、単に維持・保存するだけではなく、必要に応じて処分をすることもできます。ただし、専有部分の処分には後述する区分所有者の同意が必要です。

また、管理の結果得た財産(賃料や売却代金など)についても、管理・処分の対象になります。

2項|議決権は行使できない

第四十六条の九第二項
前項の規定にかかわらず、管理不全専有部分管理人は、集会において議決権を行使することができない。

管理不全専有部分管理人は、集会で議決権を行使することができません。

管理権限はありますが、区分所有者本人ではないため、議決権までは認められていない点に注意です。

3項|裁判所の許可が必要な行為

第四十六条の九第三項
管理不全専有部分管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
一 保存行為
二 管理不全専有部分等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

管理不全専有部分管理人が、単独でできる範囲は限られています。

独断でできること

  • 保存行為
  • 性質を変えない範囲の利用
  • 性質を変えない範囲の改良

つまり、上記の範囲内であれば、裁判所の許可なく行うことができます。

一方で、これを超える行為は裁判所の許可が必要になります。

ただし、この許可がないことをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。
ここは少し難しい条文ですが、簡単に言うと、「知らなかった第三者を保護するルール」です。

まず、用語の意味を整理すると、

  • 善意=知らないこと
  • 無過失=普通に注意しても気づけないこと

つまり、「裁判所の許可が必要だったことを知らず、しかも落ち度もない相手」を保護するという意味です。

【具体例】

管理不全専有部分管理人Aが、本来は裁判所の許可が必要だったにもかかわらず、許可を得ないまま専有部分を売却してしまいました。

買主Bは、裁判所の許可が必要だとは知らず、契約内容などを普通に確認しても、そのことに気づけない状況だったとします。

この場合、後から「実は裁判所の許可がなかった」と主張して、Bに対抗することはできません。

つまり、善意(知らない)かつ無過失(落ち度がない)の第三者は保護されるということです。

逆に、Bが「裁判所の許可がない」と知っていた場合(悪意)や、普通に確認すれば分かったのに確認していなかった場合(過失あり)は、保護されません。

解説図

4項|専有部分の処分には区分所有者の同意が必要

第四十六条の九第四項
管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の処分についての前項の許可をするには、その区分所有者の同意がなければならない。

専有部分を処分(売却など)する場合、裁判所が許可を出すには区分所有者の同意が必要です。

つまり、専有部分の処分では、

裁判所の許可 + 区分所有者の同意

の両方が必要になります。

ただし、区分所有者の同意が必要なのは「専有部分の処分」の場合だけです。

つまり、3項を超える行為すべてに同意が必要なわけではない点に注意しましょう。
例えば管理をするには許可は必要ありません。

試験ポイント

  • 管理不全専有部分管理人には「管理+処分権限」がある
  • 議決権は行使できない
  • 保存行為・性質を変えない利用改良は単独で可能
  • それを超える行為は裁判所許可が必要
  • 善意・無過失の第三者は保護される
  • 専有部分の処分は「裁判所許可+区分所有者同意」が必要

練習問題

問題1
管理不全専有部分管理人は、専有部分の管理をする権限はあるが、処分をする権限はない。

回答を見る

答え:×

管理不全専有部分管理人には、管理だけでなく処分をする権限もあります。ただし、専有部分の処分には区分所有者の同意などが必要です。

問題2
管理不全専有部分管理人が専有部分を処分する場合、裁判所の許可があれば区分所有者の同意は不要である。

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答え:×

専有部分の処分では、裁判所の許可に加えて、区分所有者の同意も必要です。

問題3
管理不全専有部分管理人は、管理権限を有するため、集会で議決権を行使することができる。

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答え:×

管理不全専有部分管理人には管理権限がありますが、集会で議決権を行使することはできません。

管理権限があることと、議決権があることは別です。ここは試験でもひっかけになりやすいポイントです。

問題4
管理不全専有部分管理人は、保存行為や性質を変えない範囲の利用・改良であっても、裁判所の許可を得なければならない。

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答え:×

保存行為や、性質を変えない範囲の利用・改良については、裁判所の許可なく行うことができます。

裁判所の許可が必要なのは、この範囲を超える行為です。

問題5
管理不全専有部分管理人が裁判所の許可なく処分行為を行った場合、相手方が善意有過失の場合、その無効を主張することができる。

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答え:○

第三項では、善意(知らない)かつ無過失(落ち度がない)の第三者のみ保護されます。

つまり、相手方が善意であっても、有過失(普通に確認すれば気づけた)であれば保護されません。

そのため、「裁判所の許可がなかった」と主張して対抗することができます。

問題6
管理不全専有部分管理人が第三項の範囲を超える行為をする場合は、常に区分所有者の同意が必要である。

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答え:×

区分所有者の同意が必要なのは、「専有部分の処分」の場合だけです。

第三項の範囲を超える行為すべてについて、区分所有者の同意が必要になるわけではありません。

つまり、専有部分の処分では「裁判所の許可+区分所有者の同意」の両方が必要になります。

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