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区分所有法 第46条の8|管理不全専有部分管理命令

区分所有法第46条の8は、放置された専有部分によって他人に被害が出る場合に、裁判所が「管理不全専有部分管理人」を選任して管理させる制度を定めた条文です。単に管理状態が悪いだけでは足りず、他人の権利侵害やそのおそれが必要になる点が試験でよく問われます。

目次

条文

(管理不全専有部分管理命令)

第四十六条の八
裁判所は、区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該専有部分を対象として、第三項に規定する管理不全専有部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。

2 管理不全専有部分管理命令の効力は、当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共用部分、附属施設若しくは建物の敷地にある動産(当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権(いずれも当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

3 裁判所は、管理不全専有部分管理命令をする場合には、当該管理不全専有部分管理命令において、管理不全専有部分管理人を選任しなければならない。

今回学ぶポイント

  • 請求できるのは利害関係人
  • 単なる管理不適当では足りず、他人の権利侵害(又はおそれ)が必要
  • 裁判所は命令時に管理不全専有部分管理人を選任しなければならない

解説

1項|管理不全専有部分管理命令とは?

第四十六条の八第一項
裁判所は、区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによつて他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該専有部分を対象として、第三項に規定する管理不全専有部分管理人による管理を命ずる処分(以下「管理不全専有部分管理命令」という。)をすることができる。

この条文は、放置された専有部分によって他人に迷惑や被害が出る場合に、裁判所が管理人を付けて管理させる制度です。

例えば、専有部分が長期間放置され、漏水・悪臭・ゴミ屋敷化などにより、他の住民へ悪影響を及ぼすケースがイメージしやすいです。

ただし、単に「管理状態が悪い」というだけでは足りません。次の要件を満たす必要があります。

  • 専有部分の管理が不適当であること
  • 他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがあること
  • 裁判所が必要と認めること
  • 利害関係人による請求があること

つまり、「管理が悪い」だけでは命令は出せず、他人への被害(又はそのおそれ)まで必要という点が重要です。

また、請求できるのは利害関係人であり、命令を出すのは裁判所です。

さらに、条文は「することができる」と規定しているため、裁判所の義務ではなく、必要性を判断した上で命令するか決めます。

2項|命令の効力が及ぶ範囲

第四十六条の八第二項
管理不全専有部分管理命令の効力は、当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分又は共用部分、附属施設若しくは建物の敷地にある動産(当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)並びに共用部分及び附属施設に関する権利並びに敷地利用権(いずれも当該管理不全専有部分管理命令の対象とされた専有部分の区分所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

管理不全専有部分管理命令の効力は、専有部分だけではなく、関連する財産や権利にも及びます。

効力が及ぶ対象

  • 専有部分
  • 共用部分にある動産
  • 附属施設にある動産
  • 建物の敷地にある動産
  • 共用部分に関する権利
  • 附属施設に関する権利
  • 敷地利用権

ただし、何でも対象になるわけではありません。対象専有部分の区分所有者(又は共有持分を有する者)が所有・保有しているものに限られる点が重要です。

つまり、他人の所有物まで管理対象になるわけではないということです。

3項|管理不全専有部分管理人の選任

第四十六条の八第三項
裁判所は、管理不全専有部分管理命令をする場合には、当該管理不全専有部分管理命令において、管理不全専有部分管理人を選任しなければならない。

裁判所が管理不全専有部分管理命令を出す場合、管理不全専有部分管理人を必ず選任しなければなりません。

つまり、命令だけ出して終わりではなく、実際に管理を行う人まで裁判所が決める仕組みです。

なお、1項では「管理命令をすることができる」と規定されているため、裁判所は必ず命令を出す義務があるわけではありません。必要性を判断して、命令するかどうかを決めます。

試験ポイント

  • 請求できるのは「利害関係人」
  • 命令を出すのは「裁判所」
  • 単なる管理不適当では足りず、他人の権利侵害(又はそのおそれ)が必要
  • 「することができる」=裁判所の義務ではない
  • 管理命令を出す場合、裁判所は管理不全専有部分管理人を選任しなければならない
  • 命令の効力は専有部分だけでなく、動産・権利・敷地利用権にも及ぶ
  • ただし、対象専有部分の区分所有者(共有持分権者含む)のものに限られる

練習問題

問題1
管理不全専有部分管理命令は、専有部分の管理が不適当であれば、他人への被害や侵害のおそれがなくても裁判所が命令を出すことができる。

回答を見る

答え:×

管理不全専有部分管理命令は、単に管理状態が悪いだけでは足りません。他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれが必要です。

問題2
管理不全専有部分管理命令を出す場合、裁判所は管理不全専有部分管理人を選任しなくてもよい。

回答を見る

答え:×

裁判所は、管理不全専有部分管理命令を出す場合、管理不全専有部分管理人を選任しなければなりません。命令だけ出して終わりではなく、実際に管理を行う人の選任まで必要です。

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